因習奴隷たちの菅総理退任評

このブログは政治について多く取り上げているのだが菅総理が退任してから政治ジャンルの閲覧数が伸び悩んでいる。おそらく菅総理に叩きがいがないからだろう。安倍総理に叩きがいがあったのは「憲法理念」という大義をおおっぴらに破って見せたからである。民主主義も憲法も日本人には権威があるものなのでそれを「破る」行為には非難が集まる。菅総理はそれがない。悪役としても引きがない政治家なのだ。




ただ、安倍前総理大臣が何をやったのかということについて総括しようとしても答えは返ってこない。日本人は民主主義や人道などの重要性は理解していないからである。つまり「民主主義」は単なる因習の一つであって考察の対象ではないということになる。

社会的序列があって「民主主義はいいこと」だと決まっているのだからそれを破るのはイケナイコトだとみなされる。前回バ美肉を見た時「多様性」という言葉が使われていた。これも世界的な潮流で多様性と言っておけばなんとなく収まりがいいというような使われ方である。「自民党の政権が正義である」と考える人たちも多い。彼らは安倍政権・菅政権の9年近くで自信を深めてきた。憲法や民主主義を擁護しようとする民主党の流れが世間の支持を失ってゆくと「憲法理念」は至高のイイモノであるという考えは受け入れにくくなり、代わりに権威と一体化することが良いことなのだと捉えられるようになった。

このように日本人の中には政治に序列意識を持ち込み自らそれに従うことで政治的な意見を決めている人たちがいる。自ら因習に従って見せているのでここでは「因習奴隷」と呼びたい。では彼らは今回の菅総理退任をどう見たのだろうか。実際に聞いて見た。

最も多く高評価が得られた回答は「菅総理は色々ないいことをやったがマスコミが邪魔をした結果それがうまく伝わらなかった」だった。複数回答があるがいずれもたくさんの高評価を得ている。

彼らは「体制は常にいいことをやっているがその中間に良くない人たちがいて現状を歪めている」と考えている。これは「水戸黄門シンドローム」である。これに反応した人を見てみたのだが割とまともで普通のことを言っている人たちが多い。日本はある種封建制を生きている。その封建制には権威と悪代官がいる。何を悪代官に置くかによって世界の評価は全く異なる。

政治に関心があり意見を持っている人の多くはこうした因習に自らを閉じ込めている。だがそれは一般の評価ではない。

菅総理への支持率は落ちている。彼らは単に「なんかパッとしない」とか「飽きた」とか「ここらでちょっと空気を変えたい」と思っているだけである。これは政治的な論考とはみなされない。だからいくら聞いてもこうした声が政治的議論として返って来ることはない。

実際の政治はこうした空気によって変わってゆく。空気を作っているのは外見や滑舌といった見た目である。

安倍前総理は高市早苗さんに乗ることにしたようだ。男性社会と対等に渡り合える女性というのはなんとなく「受けそうな」キャラである。高市さんの場合官僚と全面的に対決することはないだろうから「空気を変えてみせる」ためには良い選択肢なのかもしれない。ただ清和会を抜けた高市さんのことを清和政策研究所の中にいる国会議員たちがどう思うかはかなり疑問だ。総理になれるかもしれないからあの派閥にいる人も多いはずなのだ。安倍総理は清和会を分裂させてしまうかもしれない。

また、メディアで一躍脚光を浴びたのはイケメンだが中身がないとされていた小泉進次郎環境大臣だった。カメラの前で緊張することもなく目に涙をためて声を詰まらせるという「自然体の演技」を見せた。

一方、政治的な意見を持っている人の間で人気が高まっているのは河野太郎行政改革大臣である。河野さんが叩いているものは二つある。一つは官僚でもう一つはファックスや印鑑などの旧弊である。

つまり、政治的意見を持っている人は誰かを叩きたがっていて、政治的意見を持っていない人は見た目の良さと感情移入のしやすさで政治家を選んでいる。封建社会を生きる人たちはこれまでの価値体系は変えたくない。だがやはりコロナ対策には不満を感じている。だから河野太郎行革担当大臣のように「悪いのは官僚である」という主張にはおそらく喜んで乗ってくるだろう。世界の歪みを説明できてしまうからだ。

さらに高市早苗さんや小泉進次郎環境大臣のような天性のタレントも見た目で政治家を選ぶ消費者的な有権者には大きなアピールになるに違いない。菅総理は着実な仕事をやっていたが見せ方が悪かっただけで実は官僚が抵抗していました!などと言えば意外と支持率は確実に上がるのではないかと思う。

あとは「オーソドックスで政治家かくあるべき」という岸田さんがどれだけ健闘するかだろう。つまらないと思う人もいるかもしれないし「安定感がある」と考える人もいるはずだ。

衆議院議員選挙はどうやら11月末までずれ込みそうである。緊急事態宣言という特殊な状態なのだが衆議院議員不在という時期を挟んでまるまる3ヶ月権力の空白が生まれることになる。これについて危険だと騒ぐ人はそれほど多くない。ずいぶんのんびりとした緊急事態だなと思う。

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