自民党総裁候補の誰が消費税増税を言い出すか

たまたまテレビをザッピングしていたらNHKで総裁討論会をやっていた。話を聞いていたら河野候補が「基礎年金は保険料ではなく税で賄うように改革をしたい」と言っていて「おやおや」と思った。興味がないので総裁選挙はスルーしていたのだが意外と大切な話をしているらしい。




他の三候補は既存の年金制度を改良しながら使ってゆくという姿勢だ。河野候補のやり方では増税になると反対していた。財源は消費税だが、河野候補は消費税増税するとすればどれくらいになるのかという質問に対して「数字が一人歩きする」から言わないと言っていた。だが、増税そのものは否定しなかった。

消費税増税=自民党の敗北である。岸田候補は「10年は年金を上げない」と言っているがつまり自分の任期は上げないと言っているだけである。おそらく「将来は上げなければならないんだろうな」とは誰もが思っているのだろう。だが誰も言い出さない。

フジテレビでも同じ話をやっていたので聞いて見た。やはり河野候補は細かい収支の話は避けていた。この人にはまず「自分は思い切ったことをやれる素晴らしいリーダーである」という自負があり、その自負に合わせて「誰も言い出さないであろう」ということを言ってしまう悪癖があるのだろう。個人的には自民党の崩壊を期待しているので是非河野太郎さんに次期総理大臣になってもらいたい。参議院議員選挙の楽しみが増える。

残念なことに他の候補は極めて良識的である。野田候補は一度検討したことがあるそうだが「負担が増える」という結論に至ったという。個人的には筋の悪い話であると思っているそうだ。岸田さんは前日は「増税が必要なのでは?」と言っていたのだが、今回は「基礎年金」だけなんですね、また整理して議論してほしいと収めてしまっている。候補者なのか司会者なのかよくわからない。

結局、フジテレビのこの朝の番組は「難しい制度設計は厚生労働省の役人にやらせればいい」という趣旨の話でまとまってしまった。基本的には親自民の立場を貫いているのであまり難しい話はしたくないのだろう。自民党内で議論が深まらない理由はこの辺りにあるのだろうと感じた。おそらく議論が手詰まりになると「官僚に良いアイディアを出させればいい」となるのだろう。広告代理店とクライアントの会議でもこういうことがよくある。プロダクションに何かアイディアを出させればいいと会議は一旦収まるのだがその後でいいアイディアが出てきた試しはない。

どうもこの議論は行き詰まり気味である。その原因は考えるまでもない。日本経済が成長しないのだから将来の負担は増えるに決まっているのである。

お神輿に例えて言えばわかりやすい。誰もができるだけ軽い力でお神輿を担ごうとしている。自分が頑張ると荷重がかかってしまう。「頑張るのが損」という社会だ。成長しないに決まっている。

「成長戦略」に乗ってはいけないという教育効果も働いている。直近ではオリンピックがそうだった。東京オリンピックは言ってみれば搾取の祝典だった。税金がかからない安価な選択肢であると説明されたが実際にはとても高くついた。あれは成長戦略ではなくおそらく建築と広告代理店と派遣業を儲けさせるための壮大なでっち上げだった。さらに末端にお金が行き渡るわけではなく間にいる人たちが全部吸い上げてしまうだけに終わった。こうして日に日にやる気が削がれている。祭りは参加するものではなく周りから冷ややかに見つめるものだ。

おそらく政治の話をちゃんと聞くと「負担が増える」ということに気がつくのだろう。だったら興味を持たずに負担が増えるという話が出てきたときだけ自動的に野党に入れればいい。日本人はこうやって低成長時代を凌いできた。

自民党も「浮動票は寝ていてもらっても構わない」ことを前提に細かな説明を避けてきた。無関心な人ほど腹が立たないのが安倍政治の特徴だったと言って良いだろう。結局その悪癖は継承されてしまいそうだ。

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