悪性インフレの予感

衆議院選挙が終わった。負けを最小限に抑えることができた自民党はコロナ禍で痛んだ経済を立て直し、自民党改革をする」と言っている。公明党は一時給付金を岸田総理におねだりしにゆき財務省が慌てて「ご説明」に伺ったようである。期待していた成果を得られなかった立憲民主党・国民民主党は「共産党との共闘が有権者に勘違いされた」と総括しつつあるようだ。維新は身を切る改革案と改憲案を準備すると意気込んでいる。

禊は済んだしコロナは終わったという気分に浸っているのだろう。だが新しい危機が訪れようとしている。それが悪性インフレである。給料が上がらず物価だけが上がってゆく状態を指す。スタグフレーションともいうそうだ。




経済が急激に回復したため燃料需要が急激に上がっている。アメリカ合衆国は石油の増産を依頼したそうだがOPECプラス(OPECにロシアなどが入っている)は要求を拒否した。このためガソリン価格は高騰を続けている。

小麦粉や油脂の価格も高騰している。干魃や需要高騰などの複数の要因が重なったようである。企業努力だけではどうしようもないとパンの価格がじわじわと上がっている。10月に一度あがり1月にも値上げがありそうだ。まず、安売りや見切り品がなくなり低所得者の生活を圧迫する。「低所得者」といってもシングルマザーだったり若いサラリーマンだったりするのだ。トウモロコシはバイオ燃料にも使われている。このため価格が高止まりしているそうだ。飼料としてトウモロコシに依存する養鶏にも影響が出ていて鶏肉が高値をつけたままになってる。コロナで需要の形が変わったという原因の他に鳥インフルエンザの流行なども要因になっているそうだ。

さらにアメリカでテーパリングが始まっている。もともとアメリカの中央銀行が債権などを買って経済を支えていた。これが徐々に縮小する。今の所持っている国債は買い替えを行うそうである。さらに金利の引き上げはまだやらないそうだ。つまり本格的な影響はこれから出る。日本の金融政策には出口がないのでアメリカで金利が上がっても追随ができない。投資家は金利の高い方に誘導されるのだから日本は円安になる。岸田政権でも金融政策は変わらないと報道されているのだが「変えない」のではなく「変えられない」のだろう。

日本が輸出で稼ぐ形の国であれば企業は円安で物やサービスがが売りやすくなり給与として経済に還元される。だが日本の賃金は上げ止まっているので経済には還元がない。すると「賃金上昇なきインフレ」ということになってしまうわけだ。悪性インフレとかスタグフレーションなどと呼ばれる。

識者たちが指摘するようにこれは日本だけの現象ではない。中国でも物価上昇や日用品の不足が起こっている。国内を引き締めようと国民にメッセージを出した所「台湾有事ではないか」として買いだめ騒ぎが起きたという。そこで中央政府は日用品を確保し物価も安定させるという約束をした。2022年秋に5年に一度開かれる党大会がありそこまでは治安を安定させ習近平体制を盤石にする必要がある。習近平国家主席は定年規定を変えてまで続投しようとしているので周囲には反対する人も多い。かなり強権的なこともやっているようである。中国は国家の威信をかけて日用品の買い支えを行う必要があるしおそらくやるだろう。民主主義国家ではない中国で政治的リーダーが信任し続けるためには「全てがうまく行っている」必要があるからだ。ということは日本は競り負けてしまうのだ。

全ての状況が悪性のインフレに向かっていてその兆候はいくつも現れている。つまり全く予想外の出来事ではない。だが政府も野党もおそらく現象が現れたあとで「予想外だった」とか「未曾有だった」などというのだと思う。

自民党の茂木幹事長も「自民党改革をやる」と言っているし立憲民主党も「共闘の是非」を議論している。参議院選挙で頭がいっぱいになっているのだろうと思う。だが、実際にはもう次の準備をしてもらわないと困るのである。

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