やはり菅政権はPCR検査を抑制していた

政府分科会が新型コロナの指標を変えた。読売新聞が独自記事として「PCRの全数無料検査をやる」と報道したのである。やはり、野党が指摘して来たように、これまで菅政権はPCR検査を抑制してきたんだなと思った。

政府に追従するTwitter論壇もいい加減なものだ。この手の議論に乗っても疲れるだけなのでやめた方がいい、と感じた。




まず今回の流れを見てゆこう。選挙後に国会が開かれる前に準備よく分科会が指標を変えた。これまでのように感染者を見るのではなく医療の逼迫具合についての統計を取って都道府県ごとに判断することにするという。予測ツールも提供するそうだ。これを読売新聞が「独自」として出しその後分科会が発表するという手順だった。政府主導が印象付けられるが正式には分科会が提案したということになっている。

指標はレベルからステージという言葉に変わった。

この方針自体は間違ったものではないだろう。ワクチンが普及しマスク着用率も高い。つまりある程度コロナ対策に目処がたった。地域によって医療逼迫度合いには差があることも統計からわかって来たそうだ。さらに医療リソースを把握して予測するという方針も(実現できるかはさておき)従来多くの識者が指摘して来たことだ。

おそらく「疑似政権交代」のおかげである。菅政権は反省しない政権だった。だが、9月の末に岸田政権に変わってからわずか1ヶ月で新しい方針が出せた。日本の選挙制度は国民を民主主義に関与させない上に政策ベースの政権交代が起こらない。つまり、自民党という限られた枠の中で疑似政権交代が起こり運営手法の転換が行われる。

ただこのニュースからは「感染者数が指標から外れた」理由は見出せない。鍵は次に出て来た読売新聞の独自記事にあるのではないかと思う。都道府県の判断で設けられた会場での検査が無料になるそうだ。

これまで頑なに「一生懸命頑張っているが広げられない」とされていた検査ができるようになったのはなぜだろうか。

第一に政府ではなく都道府県が実務を担うことという点に注目したい。政府には人的リソースはない。また事務局システムを作って民間に委託しても中間業者がいい加減な提案しかしてこない。中央集権型の発想で都道府県を下請けとして使うというシステムだ。結局いい加減な民間よりも都道府県の方が忠実で確実な下請け機関なのである。

次に検査の位置付けに大胆な転換があったことが読み取れる。政府はワクチン・検査パッケージを充実させ「経済を回復させる条件が整った」ということにしたい。そのためには無感染者が特定できなければならない。無感染の証明が有料だと参加しない人が出てくる。そこで税金を使って経済活動を支援しようとしているのではないかと思う。

  • これまでの検査:感染が特定されると保健所のリソースが逼迫し医療費の負担が増える。さらに政府の無策が野党から責められる。だから感染者はできるだけ特定しない。
  • これからの検査:無感染が証明されると経済に復帰できる。これは自民党を支援する経済諸団体にとっては助けになる。だから積極的に無感染者を特定することにした。

実に現金な転換である。

これまで野党の度重なる要請に対し菅政権は「頑張って検査数を増やそうとしているがなぜかできない」とおとぼけモードだった。蓮舫参議院議員のTwitterにこの話題が時々登場していた。蓮舫議員はモニタリング検査(サンプルを取って検査する)の拡充を訴えて来たが田村厚生労働大臣らは「一生懸命やっているんですがねえ」と全く取り組む気がないという姿勢をあからさまにしていた。

マスク

これを受けた巷の政府勝手応援団は「PCR検査にも偽陽性があり正確ではない」などと主張して来た。つまり「検査拡大主義者は科学を知らない大馬鹿ものだ」という体裁で「科学的な」主張を展開して来たのだ。

だが実際には単に「感染者を見つけたら政府の損になる」という程度の近視眼的な損得勘定に基づいた判断だったということになる。

苛立って来た野党や野党の支援者は疲れ損だった。単に「次元の低い抵抗をしているなあ」と思って聞き流していればよかったのだ。

マウンティング思考が充満する現代において「リベラル」は議論に勝ちたい人たちのカモになっている。やらない理由をあれこれ挙げて抵抗すれば左派リベラルの人たちが勝手に苛立ってくれるからである。こうした姿を見て「ザマアミロ」と思う人たちが大勢いたのだろう。

これについて質問したところ、まだ読売新聞を読んでいない人が「そんな話は聞いていない」と反論してきた。テレビで報道されたりネットで拡散されるまで情報更新に追いつけない人がいる。

ただ情報が行き渡ると今度は「ゼロコロナ政策のための検査はくだらないが経済を回す積極検査は応援できる」と主張する人が出て来た。検査の性質に変化はないしリソースが増えたわけではない。ただ文脈が変わっただけなのだがそれが「本質」だと思っているのだろう。

とにかく、風向きを読んで議論に勝てればそれで満足という人がたくさんいるのだ。こうした議論に時間を使うのが本当に生産的なのかよくよく考えて見たほうがいい。

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“やはり菅政権はPCR検査を抑制していた” への1件の返信

  1. >指標はレベルからステージという言葉に変わった。

    ステージからレベルへ変った。
    ステージの方が違和感あったので、災害並みにレベルなんでしょうけど。肝心のところがまだ定量指標では無いですね

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