中国への態度が煮え切らない「話を聞く」岸田総理大臣への退陣要求

今回も例によって書いた後で構成がかわった。最近はSNSの発達で話の展開がとても速い。もともとは米中対立の話を書くつもりだったのだが、半日ほど寝かせておいたらTwitterで#岸田総理の退陣というタグが複数生まれていた。どうやら高市さんの応援団が動き出したようだ。表面的には北京オリンピックへの対応を批判しているのだと思ったのだが、彼らはすでに「移民解禁」で刺激されていたらしい。隠れていた不満が一気に噴き出したということなのだろう。

きっかけは「やたらと中国関連のニュースが多いな」と思ったことだった。中国とロシアの合同チームが韓国の航空識別圏に入り中国の調査船が日本の領海を侵犯した。さらにアメリカも北京オリンピックへの外交ボイコットを考えているようだ。

だがこの時は岸田政権への影響などあまり考えていなかった。タイトルを何にしようかなと思ったのだが、岸田総理 問われる北京オリンピックへの対応とした。中国を刺激するより日本に落とし込んだ方が無難だと思っていたからである。

でもその判断は間違いだったようだ。ネット右派は本気で怒っていたのである。




米中対立の背景にはアメリカと中国のつばぜり合いがある。アメリカはTPPのような他国的連携を諦めて自分たちに有利になるような枠組みを作ろうとしている。何が正義かは法廷で決まるという国柄だがそのルールは自分たちで決めたいというわがままな国である。

一方で経済で自信を深めた中国はそれなりに大国として認めて欲しい。だがアメリカを含めた世界の国々は一向にそれを認めてくれない。そこで苛立ちを強めているのだろうと思われる。

貿易で成り立つという自己認識がある日本は表面上はアメリカに配慮しつつも本音ではこの対立が激化しないようにと願うばかりである。近隣で緊張が高まってもいいことは何もない。

だがここにもう一つ別の対立が加わった。きっかけになったのは有名なテニスプレイヤーと張高麗前副首相の不倫疑惑だ。日本のワイドショーでは不倫事件として報道された。最初は同意のない性交渉だったが「嫌よ嫌よも」で深い不倫関係に陥ったという筋書きだった。

だがヨーロッパでは全く異なった見方をされた。そもそも最初が無理やりだったのが「人権侵害である」という理解が広がった。WTAは中国での大会を取止めるかもしれないという騒ぎになり「本人が書いた」とされるメールが送られた。メールには「性的暴行はない」と書かれていたのだがもちろん誰もそんなものは信じない。テニス界で騒ぎになり最終的に国連まで「彭帥さんの安否を明らかにせよ」と言っている。

アメリカ合衆国は北京オリンピックが習近平国家主席の権威づけに利用されることを防ぎたい。そこで「北京オリンピックに外交団は送らない」という方針を表明するものとみられている。その理由づけはもちろん「人権」である。おそらく彭帥さんの件は偶然この時期に起きたのだろうがそれを利用しない手はない。

もちろん米中対立とテニス選手の不倫の話とオリンピックには直接的な関係はない。関係はないのだがなぜかSNSを媒介にして一つの物語を形成している。

さらに日本は韓国との間に難しい問題を抱えている。韓国は大統領選挙を控えて政治の季節に入っている。すると名前を売るために竹島(韓国名独島)を利用する人が出てくる。岸田総理は党内に中国・韓国に対して厳しい態度で臨むべきだと主張する右派を抱えているので、韓国との協力姿勢が取りにくくなった。アメリカが主催する外務次官級の会合で共同記者会見ができなくなった。

これも韓国国内で「風」を利用したい警察庁長官によって外交が撹乱された事例である。つまり風が火を煽っている。これが様々な状況と絡み合って一つの方向を作り出してゆく。

さて、こうなってくると日本もなんらかの対応を迫られる。だが岸田総理ははっきりとした答えを出せなかった。諸情勢は「アメリカに同調して北京オリンピックへの外交ボイコット」に動くはずであるが、岸田総理は「日本は日本で決めます」との姿勢を崩さなかった。つまりアメリカが外交ボイコットをしても日本は従わないかもしれませんよということだ。これがネット世論に引火し冒頭の「#岸田総理の退陣」タグになったものと考えられる。

もともと安倍総理を応援していた人たちの中にあった違和感が風に煽られたわけだ。

岸田総理は「ネット保守には憲法というおもちゃを与えておけば満足だろう」と考えていたのかもしれない。憲法改正推進本部が憲法改正実現本部に変わり「やる気を示そう」ということになったそうだ。今後中国の脅威を宣伝することで憲法9条改正を目指すのだろう。安倍総理を満足させることはできるのだろうがもう安倍総理一人の問題ではなくなっていたのだ。

岸田総理大臣が所属していた宏池会は伝統的に経済重視・近隣外交重視で知られる。同派閥出身の林芳正外務大臣は日中友好議員連盟の会長だったことからも本音では中国との外交関係を穏健に維持したいことがわかる。韓国でも中国でも一定の期待の声があったそうだ。地方も痛んでいる。非正規労働者を犠牲にしてなんとか経済を回してきたがそれも破綻しかけている。だから外国人労働者が使いたい。

さらにネット上で「高市支持」が広がると「自民党はこういう人たちに支えられてきたのか」と距離を置く人たちも出てくるだろう。高市さんにとってはかえって迷惑なのかもしれない。自民党で主流派に近づくための演出から身動きが取れなくなる。

つまり、安倍総理を支えてきたネット右派と岸田政権に期待する人たちを折り合わせることはできない。おそらく岸田総理は数週間のうちになんらかの選択を迫られることになるのだろうと思う。風に煽られて広がった熱が色々なところで「何かをすっぱりと切り捨てる」ことを要求しているのだ。

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