ネットでの情報伝達を観察する

昨日無党派層に関する記事を書いた。あまり一般受けする話題ではないのだが、意外な程流入が多かった。ソーシャルメディアを通じて広がる。どのように広がるのか、またソーシャルメディアによって違いがあるのかを調べてみた。

広がった原因は分かっている。テレビに取り上げられた話題で田崎史郎さんという人名が入っているからだ。過去の投稿でも「山本太郎」とか「麻生くん」のような人名での検索が多いことが分かっている。呼び込み文で使った文面を読むと「SEALDsの若者に狼狽する田崎史郎さん」というように読める。テレビ番組名(みんなのニュース)と「奥田愛基」という名前は入っていない。

毎回のお約束としてFacebookとTwitterで呼び込みをすることに決めている。最初に流入したのはTwitterではなくYahooだった。Twitterの投稿がそのままYahooで表示されるらしい。あとで見るとほとんどがモバイルユーザーだった。年齢層は比較的若年に偏っているが、全てが若年層というわけではない。わざわざ「田崎史郎」で検索しているらしい。どうやらYahooユーザーは時間単位で情報を追っているようだ。1時間程でピークはおさまった。

最初のピークがYahooで、そのあとしばらくしてFacebookからの流入が始まった。
最初のピークがYahooで、そのあとしばらくしてFacebookからの流入が始まった。

しばらく時間を置いて今度はFacebookユーザーが流入し始めた。比較的緩やかなのだが、Yahooに比べると長時間続くので全体で75%を占めるまでになった。Facebookは少し工夫がいる。通常の呼び込みは60名程度に流れるだけなのだ。ハッシュタグ(#付きの単語)をクリックすると関連したニュースを閲覧することができる。そこで関連する記事が目にとまるのだ。今回はSEALDsにハッシュタグを付けたので、この人たちはSEALDsに興味があるのだろう。この流入は日付を越えても続いた。パソコン経由の閲覧が多いので、眠れずにパソコンで情報収集している人が多いのかもしれない。

全体のモバイル比率は55%だった。このうちの半数がiPhoneだ。また、男性が75%、女性25%だった。細かな数字は下記の通り。年齢層は意外と高い。

  • Facebook (PC) 45%
  • Facebook (Moblie) 18%
  • Twitter 5% (PCが70%)
  • Yahoo 25%
  • 18-24 6%
  • 25-34 20%
  • 35-44 31%
  • 45-54 27%
  • 55-64 16%

この流入者が、田崎さんを応援しているのか、SEALDsを応援しているのかは分からない。なお、本文はどちらかを味方する形式にはなっていないので、その後シェアされることはなかった。平均滞在時間は1分30秒ほどもある(ただし、1ページのみで退出した人がどれくらいの時間滞在したかどうかは仕組み上分からない)のが意外だった。

どちらかに乗るとバイラルで広がる可能性は広がっただろうと思われる。安保法制を巡る議論は二極化が進んでいるのだが、少しでも閲覧数を多くしたい全てのメディアが二極化に加担したくなる気持ちがよく分かった。特に人名を入れると人々の関心が高まるのだから、広まりやすい文章は自ずから誰かに味方し、誰かを悪者にして罵倒することになるだろう。

出先(まさか職場では見ていないと思うのだが)でモバイルフォンを見ながら、じっくりと考察できるとは思えない。時間単位で情報ハンティングを行っているのだから、1分程度で分かる「エレベータートーク」でなければ、アイディアは伝わらないだろうし、容易に誤解されるだろう。