千葉市役所の嘘

千葉市役所が市長への手紙で現場が嘘を重ねたという経緯を書いたのだが、結局業者の首を切って新しい業者を入れることで状況が改善した。現在のトイレはきれいに掃除されており、トイレットペーパーが切れることもなくなった。なんでも言ってみるものだとも思う一方で、結局業者さん次第なのだなという複雑な気持ちにもなる。


最近、オリンピックや築地の問題を通じて「なんで役人はあんなに簡単にバレる嘘をつくのか」と考えることが多くなった。マスコミはオリンピックや築地市場で「視聴率が取れる」ことがわかってしまったために厳しく監視しているのだが、実は同じような話はいくらでも転がっている。単に注目されないだけなのだ。

今回の問題は、おそらく炎上しないであろう「近所の公園のトイレ問題」である。現場は千葉市若葉区と稲毛区の間にある六方調整池に附設されている公園なのだが、水路の一部なので下水道維持課が運営管理している。千葉市は台地を流れる川を都市排水を流す通路に使っているようで、その一端が公園化されているのだろう。

そこのトイレにはいつも紙がない。そこで担当部局に電話をしたのだがいっこうに補充される気配がない。メールで通報する「市長への手紙」というシステムがあり、そこにも連絡してみたが音沙汰がなかった。

そこで「どうして対応してくれないのか」ともう一度電話をしてみた。すると驚くべき回答があった。「管理業者に問い合わせた結果、きちっと処理されていることがわかった」というのである。担当者は写真付きのレポートももらっており「何もしていないということはありえない」と職員は胸を張るのである。

だが、それは虚しい嘘に過ぎない。実際には数ヶ月に渡ってゴミが放置してある。僻地にある公園なのでめったに人が来ない。だから、お金を出して掃除をしたくない気持ちはわかる。

さらに、蹴飛ばした(蹴飛ばしたのは僕)ティッシュの箱もそのまま置かれている。紙がないからティッシュを持ち込んだ人がいるのだろう。この箱も数ヶ月置いてある。つまり、本当に誰もケアしていないのである。もしかしたら誰も使ってさえいないのかもしれない。

さらにホルダーには木の枝(多分桜なんだろう)がかかっていた。これも数ヶ月間そのままになっている。誰かがなんとかしようとした努力のあとは見られる。担当者は「トイレの紙も変えてますよ」と言っていたので、担当者が嘘をついているか、業者が嘘のレポートを出していることになる。が、誰が嘘をついているのかはわからない。

業者が一方的に嘘をついている可能性もあるのだが、市役所の職員が見て見ぬ振りをしている可能性も否定できない。業者は仕事をしなくても済むし、市役所もいちいち現場をチェックしに行かなくても済む。それはみんなにとって「優しい嘘」なのだ。

築地・豊洲の移転問題など騒がれる事件の裏には嘘がある。これを外から見ていると単に嘘にしか見えないのだが、実際には仲間内の「優しい嘘」である可能性が高い。見て見ぬ振りをすることで誰もが傷つかずにすむ。

そもそも誰もこないような町はずれに公園が整備されたのはなぜなのだろう。それは前市長の時代に原因がある。鶴岡市長は最終的に道路工事の収賄で逮捕されてしまうのだが、工事業者と市の関係者が握り合って「おいしい思いをする」ことが常態化していた。もともと東京からの住宅難民を受け入れるために農地や漁村が高く売れたというあたりからこの「優しい関係」は続いていたようだ。高度経済成長期が終わり土地バブルが終焉すると、仕事を求めた業者たちは「公園や道路の開発」などの仕事を欲しがるようになった。そこで川の周りの「環境を整備する」という名目でお金を使ったではないだろうか。

この「優しい関係」は千葉市が政令指定都市になってからも続き「さいたま市には負けられない」という名目で大きな建物の建築ラッシュにつながる。いくつもの別口のお財布が作られて赤字が隠蔽されるという事態になった。これについては現市長の有名なブログ記事がある。

千葉市民が「これはいけない」と気がつくのには市長の逮捕というイベントが必要だった。それでも自民党市議団は「借金にはいい借金と悪い借金がある」と言い続け、ついに自浄作用が発揮されることはなかったのである。

だが、嘘によって守られるのは市長と業者だけである。市職員はお守りだけを押し付けられるのだから面白くない。しかし、市職員はメンテナンス業者に仕事をあげる立場にある。市長と業者は施設を作れば儲かるのだし、市職員は業者との間に別の優しい関係を作る。

トイレの紙というのは別にどうでもよいことなのだが、裏にはオープンになっている危険箇所が放置されるという問題がある。市民は市政に関心がなく、公共工事に期待するような人たちばかりが群がってくる。当然出来た建物や施設のメンテナンスなどは「どうでもいいこと」だということになり業者に丸投げされる。

さて、この記事は「市長への手紙」に貼り付けてもう一度千葉市役所に問い合わせようと思うのだが、なんとなく嫌な予感はする。彼らが仕事をサボりたければ、トイレを封鎖してしまえばいいからだ。結局、市民が圧力をかけて「炎上」に持ち込まないと、どんどんと楽な方に流れていってしまうのである。


ここまでを2016年12月に書いた。結局、市役所は「きちんと対処してゆきます」と書いてきたのだが、状況は改善されなかった。そこで担当部局に電話をしたところ「そんなところまで手が回らない」と言ってきた。市長への手紙は市長が目を通すのでそこでは「ちゃんとやる」と書いて実際には何もしなかったのだ。

だが、状況が変わった。業者が契約満了に伴って首を切られたようだ。業者が変わってからトイレはきちんと掃除されるようになった。結局市役所は謝罪もせず態度も変えなかった。結局業者を変えて何事もなかったように済ませたのである。多分、市長は「市職員はちゃんとやってくれている」と思っているのではないだろうか。

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