くそリプを処理する

このような引用Tweetをいただいた。あまりカラまれたことがない(それだけ取るに足らないことしか書いていないのだろう)のでちょっと有名人になった気分で嬉しかった。お前は考えに自信がないのだろうと書かれているが、それはその通りだ。決め込んで間違えるとろくなことはないので、考察や再考の機会は残しておくべきだと考えている。

ということで元ツイートを吟味して行こう。


維新の足立議員という方が「豊洲市場は選択と集中をしろ」と言っている。もともと選択と集中という言葉は大企業問題を扱うための理論だ。企業が大きくなるといろいろな周辺事業に手を出してしまい、企業効率が悪くなる。そこでコアコンピタンスを見直して、それが実現できる分野に経営資源を集中しろという使われ方をする。

維新の党は民営化を推進する立場なので、らしいといえばらしいなと思う。確かに、都は色々な事業に手を出しているので、例えば市場の観光的な側面などは民営化した方がいいのかもしれない。

考えるべき点はいくつかある。

最初の論点は「東京都のコアコンピタンスって何だろうか」ということではないだろうか。企業はいろいろなコアコンピタンスを持っているので、すべてのことに得意である必要はない。が、東京都は公益事業体なので、市場にない機能を補完する必要がある、かならずしも得意なことばかりをやっていればいいということにはならないはずだ。

得意なことばかりやっているのは危険ではないのかという視点もある。コアコンピタンス経営は1990年代にもてはやされた<理論>なのだが、その後批判にさらされることになる。学習を通じて新しいスキルを身につけて「変化に対応すべきではないのか」という批判や、自分でコンピタンスを得られないなら外部からM&Aなどを通じて獲得すべきではないのかという批判が出てきた。1990年代よりも企業環境の変化が早まってしまったからだ。

これは面白い視点だ。つまり都庁という官僚組織も学習機能を持って、現代にあった能力を身につけるべきではないかという批判が考えられる。例えば持っていた土地を活用する能力や有毒物質をコントロールする能力、さらに複雑化する技術にキャッチアップして見積もりを評価する能力などを身につけて行かなければならないのではないかということになるだろう。

さらに企業のコンピタンスとは切り離してとにかく儲かるものだけをやればいいという考え方もあるだろう。つまり、選択と集中をコンピタンス経営とは分けて考えるわけだ。実際にこうした経営は色々なところで行われていて、大抵は惨敗している。得意なことをやるから他の企業より安くて良いサービスが提供できるわけで、そうでなければ割高で質の悪いサービスを後発で出すことにしかならないからである。

維新の党のいう「民営化」は、中央政府の成功体験をトレースしたものであると考えられる。具体的にはJRと郵政民営化あたりが念頭にあるのだろう。民営化するとまとまったお金が入る。これで傷んだ会計を癒すことができる。が、その効果は一時的なものにしかすぎないのではないだろうか。確かに、企業が育てた事業をキャッシュにして次の事業に投資するということはあり得るだろうが、同じことをそのまま公共事業体に当てはめるというのはいささか乱暴な議論であるように思える。

豊洲の場合、集中と選択をすると「みんな魚なんか食べないから肉と野菜の流通だけして、あとはパックのマグロとサーモンだけ流通させればいいよね」という話になるだろうが、これが受け入れられるとは思えない。が、論題としては面白い、元になっている理論を紐解くことによって様々な視点を得ることはできるからである。

が、Twitterの<議論>はこうした背景理論を無視して党派性だけで繰り広げられることが多い。今回いただいたくそリプも「わかりやすい表現」だと言っている。これは集中と選択というのが一般的な単語なので、わかりやすいと考えたのではないかと思うし、多分コアコンピタンス経営というような元の考え方に興味があるとも思えない。さらに言えば豊洲にもさほどの興味はないのではないだろうか。

今回のリプ(厳密には引用ツイートだが)に興味を惹かれたのは、明らかに利益集団の一員ではない人が、特定の政党にこれほどまでにアタッチされるのはなぜなのだろうかということがわからなかったからだ。政党と個人の契約としては明らかに何かが欠損しているのだが、それが何かということがよくわからない。

ある議員に個人的に惹きつけられたのか、誰か仮想的な敵を想定しているのかもわからないが、周囲にこうした人がいないので、どうもよくわからない。その上、喧嘩をしたとしても経済的なベネフィットが得られるとは思えないし、心理的な承認欲求が満たされるとも考えられない。

アカウントを見ると色々な人に喧嘩を売っているようである。テストステロンの過剰な分泌によるものなのかななどと仮説を考えてみたが、本人から言語化された説明は見込めないだろうから、よくわからないままだろう。

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