トランプ大統領の誕生と安倍政権の崩壊の始まり

落日ってこんなもんかと思う。安部政権のことだ。

マスコミの事前予測と異なり、トランプがアメリカの大統領になりそうだ。このシナリオは安倍政権にとっては悪夢ではないだろうか。政策がどうという問題ではなく、事前に予測ができないからだ。これまでのアメリカの政策というのは大体決まっていて、日本はそれを忖度しながら政権運営をしていればよかった。これができなくなる。

直近の影響は2つある。ひとつは防衛予算の増額だ。トランプ大統領は東アジア撤退を仄めかしつつ、防衛費の負担を求めるだろう。日本はこれに応じざるを得ないがどの程度の負担増になるかは誰にも分からない。これが日本の財政を圧迫するだろう。

このことは間接的に日本には防衛戦略がなかったという事実を露呈するはずだ。力強い日本という虚像がガラガラと崩れてしまうのである。

次の懸念は株価だ。今日株価は800円ほど下がったがこれはプレビューに過ぎないのではないだろうか。アメリカは保護主義的な政策を取るはずなので、日本の企業にとっては大きな痛手となるだろう。輸出企業中心で成立している日本の株式市場にとってよい影響はないだろう。

安倍政権は株価連動政権だ。というより、安倍を支持している人たちは経済について難しいことは分からず、株価=経済だと考えているようだ。だから、株価が下がれば心理的な動揺が広がるだろう。これは年金のパフォーマンスに影響を与えるだろうが、それよりも、メンタルな部分が大きいはずだ。そのほかの「経済政策」はすべて撤退戦に入っているので、安倍政権には打ち手がない。

一方で「ロシアとの間でバランスを取っている」というポジティブな意見もある。トランプ大統領を見越してロシアとのパイプを作ろうとしているという人がいるのだ。だが、これは単なる希望的観測に過ぎないのではないか。

安倍政権は総合的な政策を持たず、分野分野で都合のよいディールを模索しているに過ぎないと思えることが多い。ロシア利権のようなものがあり、それを推進するのに4島返還論が邪魔になっている。これを棚上げして、エネルギーや鉄道に関する利権を得たいという人がいるだけなのではないかと思う。つまりロシア外交と防衛政策とはリンクしていない。防衛政策ではアメリカにフリーライドするつもりだったのではないかと思える。

さんざん「アメリカ追随」と批判を受けてきた安保法制も実はアメリカと関係なさそうだ。南スーダンでは、中国に近隣国を加えた国連部隊が展開しているだけでアメリカのプレゼンスはないようだ。中国軍は統制が取れていないらしく、南スーダン政府軍と衝突したりもしている。安倍政権は、国策として総合的な判断をしたというよりは、単に「国際的な役割を拡大させたかった」だけか「中国に乗り遅れたくなかっただけ」のように見える。石油関係の利権があるからだ。中国との対抗心は安倍政権のキーになっている。だが、南スーダンは泥沼化しつつあり、死者が出れば「違憲判断」のリスクにさらされる。

多分、日本人は安倍政権をよく理解していないし、積極的に支持もしていない。オバマ大統領が「よいアメリカ」という顔を持っていたので「大勢についてゆけばまあ大丈夫だ」と考えていたのだろう。

ところがトランプ大統領は嫌われ者であり日本に対する過激な発言でも知られている。「これまでのようにアメリカについて行っても大丈夫か」と考える人は増えるだろう。

唯一の請っていた「成長戦略」であるTPPでは完全にはしごをはずされた形になった。自民党は不人気を覚悟でTPPを推進してきたが、国民がこれを容認したのは「それでもアメリカについてゆけばまあ大丈夫だろう」と思っていたためだろう。

しかし、今後は「トランプランドに追随して大丈夫か」という疑念が出てくるに違いない。安倍政権はTPP=農家にダメージがあるだけという図式を作ってきたようだが、これで製造業国としてのアメリカと対峙するという形に変わってしまった。かといって、ここで批准手続きを止めてしまえば「アメリカに忖度しようとしただけ」ということになってしまうので、このままコミットせざるを得ない。

さらに悪いのは民進党が崩壊寸前ということだ。このため自民党の議員には危機感がない。日米同盟の動揺という党の基幹にかかわる危機が訪れているわけだが、そのような危機感は持っていないのではないかと考えられる。民進党は単に現在の政策に自民党をコミットさせるというダチョウクラブのような役割を果たしている。

彼らがプラカードを出して大騒ぎすることで、自民党は安保法制やTPPを積極的に推進したという印象になり、失敗したらすべて自民党のせいということになってしまうのだ。この対立構造を作ったのも安倍晋三なのだ。

加えて安倍政権は当初の目的である長期政権の維持を達成してしまったために、リスクを犯して思い切った政策を取ろうという意欲はないのではないだろうか。このまま危機を迎える。フリーライドしたいという周辺議員を抱え、誰もリスクをとって変化しようというリーダーシップも新しいアイディアもないまま、なし崩し的に自壊の道を走るという時代になったのだ。

トランプ候補がアメリカ人の尊厳を大いに傷つける

大統領選挙もいよいよ佳境だ。ここにきてトランプ候補がまたやってくれた。「選挙結果を受け入れるかどうか分からない」と言及したのだ。オバマ大統領が2期勝利したので、共和党員の間には「選挙で不正があるのではないか」という不満が根強い。これはどちらかというと居酒屋トークの類である。

トランプ候補がこれをおおっぴらにしたことで問題が複雑化した。討論会の発言そのものはワイドショーで繰り返し伝えられているが、その後日談は日本ではあまり知られていないのではないか。

トランプ候補は選挙結果を受け入れるか受け入れないかは「そのときに決める」と言っている。それまでは決めないという意味で「サスペンス(宙ぶらりんにする)」という言葉が使われたが、これはいろいろな通訳によってさまざまに訳されており面白かった。それぞれなんとなく印象が異なる。いずれにせよ、意味するところは「負けは認めない」ということだ。

トランプ候補の脳内ではいろいろなことが起きているのだが、基本的には自分に都合の悪いことはなかったことになる。過去に言ったことでも「そんなことは言っていない」などと平気で主張する。彼の厚顔無恥ぶりは安部首相に似ている。その場でうけるためにいろいろなことを言うわけだが、あとで整合性が取れなくなる。それを脳内で補正するのだ。「負けは認めない」発言もその線に沿ったもので特に目新しさはない。

ここまでは良かったのだが、ロシアが「候補の一人が大統領選挙には疑念があると言っているのだからアメリカは監視団を受け入れるべきだ」と言い出した。誰が言ったかは分からないのだが、国営のテレビ局が報道したので政府の意思と言えそうだ。国際ニュースで一瞬見ただけなので嘘なのかと思ったのだが、USA Todayが伝えているので間違いがない。

ご存知のようにアメリカはさまざまな国の選挙にイチャモンをつけてきた歴史がある。選挙の結果が気に入らないと「民主的でない」といい、選挙に干渉したり、軍隊を差し向けたりしてきた。どの選挙が民主的に行われているかということは、アメリカの都合で決まる。非人道的な独裁者であってもアメリカの国益に沿っている限りは許されるのである。

その根拠になっていたのは「アメリカが民主主義を擁護する」という根拠のない自信だ。だが、ロシアはそれを侵食している。クリントン候補のメールがリークされ、国民などどうでもいいと考えていることが露見した。彼女のスポンサーはお金持ちと大企業なのだ。

どの国でも「民主主義が機能していない」と言われるのは嫌なものだろう。ロシアが言っていることももっともなところがある。州によってはすべての票が勝ったほうの候補者に入るので大量の死票が出る。また選挙キャンペーンを維持するためには多額の費用がかかる。アメリカの選挙は実は民主的とはいえないのである。

アメリカはプライドの面からロシアの提案を受け入れられない。これはロシアが予想している反応なのだろう。ロシアが好まない選挙結果が出たときに「あれは不正だった」と言えるからだ。

だがこれは問題の本質ではないかもしれない。大統領は働く庶民階層の代表ではないという不満がある。アメリカの民主主義は機能していないというトランプ支持者がまだ40%以上もいるのだ。

ドナルド・トランプ語録 – 日本を敵視

共和党の大統領候補のドナルド・トランプは遠慮のない物言いで共和党の大統領候補の中でダントツの人気を誇っているが、ほとんどが英語で日本人にはあまり知られていない。演説内容は主に内政に関するもので、日本への言及は必ずしも多くない。そこで、様々な演説から日本に対して言及している部分を拾ってつなぎあわせた。

こうした演説がもてはやされているのを見ると、共和党支持者の白人は被害者意識を募らせていることがわかる。有色人種はアメリカに移民として押し寄せ、外国でもアメリカの仕事を奪っている。中国、日本、韓国、メキシコ、サウジアラビアなどの有色人種の国が名指しされる一方で、ヨーロッパやカナダなどの白人国が批判の対象になることは少ない。

共和党候補者が大統領になれば、これまでの対米交渉はすべてやり直しになるかもしれない。安保法制やTPPなど、国論を二分してまで大騒ぎする必要が本当にあるのか、充分に考えた方が良い。日本がアメリカに尽くしてみせても、相手には意外と伝わっていないということがわかる。

以下、トランプ語録。

私のメッセージは「アメリカを取り戻す(Make America Great Again)」だ。アメリカを再び金持ちで偉大な国にしなければならない。中国はアメリカの金を全て奪っている。メキシコ、日本、その他の国々もそうだ。サウジアラビアは多額のドルを1日で稼いでいるのに、アメリカの保護に対して何の対価も払わない。だが、正しいメッセージを発すれば彼らは対価を払うだろう。

四月にはツイートでTPPに対する意見を表明した。TPPはアメリカビジネスに対する攻撃だ。TPPでは日本の為替操作は防げない。これは悪い取引だ。2011年の本「タフになる時(Time to Get Tough)」ではアメリカ労働者を保護するために、輸入品に対して20%の関税をかけるべきだと主張している。

トランプは、アメリカは何の見返りもなしに日本や韓国などの競争相手を守ってやっていると言って批判した。日本が攻撃されたとき、アメリカには日本防衛の義務があるが、アメリカが攻撃されても日本は助けにくる必要がない。これがよい取引だと言えるだろうかと、43,000人収容のスタジアムに寿司詰めになった観衆に訴えかけた。

アメリカは日本と韓国に対して多額の貿易負債を抱えているのに守ってやっている。アメリカは何の見返りも受けていないと主張した。

「日本は米国に何百万台もの車を送ってくるが、東京で(米国製の)シボレーをみたことはあるか?」と挑発。中国、日本、メキシコから米国に雇用を取り戻すと訴えた。(産經新聞

トランプは安倍首相をスマートなリーダーだと持ち上げたうえで、お遊びで仕事をしているキャロライン・ケネディでは太刀打ちできないだろうと言った。日本のリーダーたちはタフな交渉人なのだ。

キャロライン・ケネディは娘の友人なので個人的には好きだが、日本のリーダーたちに豪華なもてなしで酔っぱらわされているだけだとの懸念を表明した。トランプが大統領になったら億万長者の投資家カール・アイカーンを中国と日本の貿易交渉の担当者にすると言った。アイカーンは喜んでやるだろうとトランプは言った。

以下、日本関連ではないが核に関する言及の一部。全文はTrump: I Will Absolutely Use A Nuclear Weapon Against ISISを参照のこと。

トランプはプレスとの会合で、最高司令官としてイスラム過激派に対して断固として核兵器を使用すると言及した。彼らは野蛮人だ。オバマのイラクとシリアの失策のせいで多くのキリスト教徒の首がはねられている。

[以下中略]

CNNの軍事アナリストのピーター・マンソーによると、トランプが水爆を使うと天文学的な市民の犠牲が予想される。アル・ラッカだけでも21000人の人口があるが、ほとんどISISとは関係がない。何百万人もの命が失われ、外交と地域の安定を取戻すまでに少なくとも百年はかかるだろう。

トランプによると「市民の犠牲は不幸な戦争の現実」だ。しかし核兵器を使えばアメリカと同盟国に歯向かう人たちに正しいメッセージを送ることになるとトランプは言う。自分は過去と現在の政権と違って、自分はアメリカを守るために正しいことをなすべきだという不屈のモラルを持っているとも主張した。そして、中国やメキシコには負けつつあるが、ISISには負けないと語った。の競争相手を守ってやっていると言って批判した。日本が攻撃されたとき、アメリカには日本防衛の義務があるが、アメリカが攻撃されても日本は助けにくる必要がない。これがよい取引だと言えるだろうかと、43,000人収容のスタジアムに寿司詰めになった観衆に訴えかけた。

アメリカは日本と韓国に対して多額の貿易負債を抱えているのに守ってやっている。アメリカは何の見返りも受けていないと主張した。

「日本は米国に何百万台もの車を送ってくるが、東京で(米国製の)シボレーをみたことはあるか?」と挑発。中国、日本、メキシコから米国に雇用を取り戻すと訴えた。(産經新聞

トランプは安倍首相をスマートなリーダーだと持ち上げたうえで、お遊びで仕事をしているキャロライン・ケネディでは太刀打ちできないだろうと言った。日本のリーダーたちはタフな交渉人なのだ。

キャロライン・ケネディは娘の友人なので個人的には好きだが、日本のリーダーたちに豪華なもてなしで酔っぱらわされているだけだとの懸念を表明した。トランプが大統領になったら億万長者の投資家カール・アイカーンを中国と日本の貿易交渉の担当者にすると言った。アイカーンは喜んでやるだろうとトランプは言った。

以下、日本関連ではないが核に関する言及の一部。全文はTrump: I Will Absolutely Use A Nuclear Weapon Against ISISを参照のこと。

トランプはプレスとの会合で、最高司令官としてイスラム過激派に対して断固として核兵器を使用すると言及した。彼らは野蛮人だ。オバマのイラクとシリアの失策のせいで多くのキリスト教徒の首がはねられている。

[以下中略]

CNNの軍事アナリストのピーター・マンソーによると、トランプが水爆を使うと天文学的な市民の犠牲が予想される。アル・ラッカだけでも21000人の人口があるが、ほとんどISISとは関係がない。何百万人もの命が失われ、外交と地域の安定を取戻すまでに少なくとも百年はかかるだろう。

トランプによると「市民の犠牲は不幸な戦争の現実」だ。しかし核兵器を使えばアメリカと同盟国に歯向かう人たちに正しいメッセージを送ることになるとトランプは言う。自分は過去と現在の政権と違って、自分はアメリカを守るために正しいことをなすべきだという不屈のモラルを持っているとも主張した。そして、中国やメキシコには負けつつあるが、ISISには負けないと語った。