ISTJ, ISTP

ISTJ

義務を果たす人。手許のメモにはファイナンシャル・オーディターと書いてある。多分、法律や会計上の規則といった「こうでなくてはいけない」ということに対して忠実だからだろう。現実的で頼りがいのあるタイプだ。一度、こうすべきだと決めたら、抗議されてもいっこうに自分を曲げないのだそうだ。

ちなみに勝間和代さんの本を立ち読みしたら(Twitterで、この人がMBTIを紹介しているということを知ったので)勝間さんは30歳のときにESTJだという結果が出たのだそうだ。ESTJもプロジェクト・マネージャータイプだそうなので、決まったゴールに向けて自分の資産を活用してゆく資質のある人なのだろう。

こういうタイプの人たちは、一度「こうだ」ということが決まると、そこに向けて邁進するきらいがある。世の中が勝間さんみたいな人たちばかりになると、大きなゴールは決められないのに、現場には精密な機械のような人たちがあふれているような社会ができ上がるだろう。多分、そこがあの人の本の弱点になっているのではないだろうかと思った。逆に勝間さんの本が売れるのは、日本にはリーダータイプの人が少ない一方、フォロワーや中間マネージャの役割を期待されている人が多いということだろう。「S型」の人たちは具体的な情報を好む。大局(マクロ)でものを見ようと思うとN型の直感力が必要になってくるはずだ。「大企業の男性正社員」は、この大きい視野を持つ事をある意味強制されることになる。うまくこうした視野を作る事ができればリーダーになれるだろう。これは生得的に男性がリーダーにむいているということではない。社会のフィルタリングによってこうした傾向が生み出されるということだ。いわゆるジェンダーの問題だ。一方、そうした役割を期待されていなかった女性は自分たちでこうした視点を獲得することがあるだろう。

大前研一さんのような一部のスターパートナーを除いて、マッキンゼーのマネージャーが「大局的」な視野を持つように強制されることはあまりないと思う。マッキンゼーだけでなく、外資系にはこうした人たちが多いのではないだろうか。必要なのはプロジェクト管理能力や効率といった知識だ。Nの人たちがこうしたSの知恵を見ると、「戦術的だ」と思うに違いない。しかしSの人たちにとっては戦術が全てなのである。こうした戦術を総動員して効率的に生き抜くことが戦略になっているのである。

私はこうした違いは、デザインの現場でも出てくると思う。たいていのウェブサイト制作会社ではフレームワークを作る人と実際のデザインを作る人が別れているはずである。フレームワークを作る人たちをインフォメーション・アーキテクトと呼ぶ人もいる。デザイナーが大局的な視野を持つようになると、アート・ディレクターと呼ばれるようになる。しかしこの人たちは全ての成果物に対して細かな指示を与えつつ、全体の統一感を守ることを「大局的」と考えるだろう。フレームワークを作る人たちはコンセプトや全体の位置づけを骨組みで捉えており、細かなディテールにはあまり意味がないのである。

ISTP

さてこの世界では「効率」という問題が関心を集めるようだ。ISTPはムダなことはしないタイプなのだという。しかしJがPに変わってしまっているので、「unexpected flashes of or original humor」という記述がある。英語で書くと優しいが、要は時々独りよがりのユーモアがわき出してくるということだろう。Iなので「何が面白いのかさっぱり分からない」ということも多いのではないだろうか。機械のようなものに興味があり、新しいことはとりあえず試してみたくなるということだ。Wikipediaには俳優の名前が何人か出てくる。

このわき出してくるようなユーモアというところにI(内向性)を理解する鍵があるように思える。つまり行動の動機が外側(例えばテレビを見た)からではなく、内側(何か面白いことを思いついた)からわき上がってくるということだ。このIPという組み合わせは、外からの刺激によって行動するE型の人や、常識で判断するJ型の人には堪え難いことに違いない。こうした「理解できない」という気持ちがコミュニケーション上の摩擦を生み出す。

勝間さんの本に戻る。現場マネージャータイプの人に必要なのはもしかしたら「自分の出世や生き残り」の為に自分がどういったタイプであるという現状認識があれば十分なのかもしれない。しかし、もう少し大きな組織のリーダーになるためには、いろいろな特性のバリエーションがどのような表現形となってあらわれるかを研究する必要があるだろう。EJの人たちがIPの人たちの理解に苦しむようにちょっとした形の変化がコミュニケーションの問題を引き起こすからだ。

ISFJ, ISFP

ISFJ

WikipediaでMBTIごとの有名人というセクションがある。見ていて、うーんと思った。実際にテストを受けていない人もいるわけで、どうやってタイプ分けしたんでしょうね。さてさて…このISFJにあたる有名人の記述がないんですよね。

静かなタイプなのだが、かなり現状維持型の保守的なタイプらしい。SでJなのだから当たり前とも言える。この人がいるとプロジェクトは安定性が増すだろう。Fなので人の気持ちは分かるはず。注意書きがある。「細かい事(テクニカルな)主題」について注意を払う事と書いてある。これ細かいと訳すか、技術的なと訳すかでかなりニュアンスが変わってきそうだが、TでもNでもないので技術的で細かいことは分からないだろうということは容易に理解できる。

ISFP

引き蘢った感じで、自分の意見を押し付けたりはしないタイプだそうだ。リーダーとはならず、フォロワーであることが多い。今を楽しむタイプで、必要もなく張り切ってシゴトを終わらせようという意欲はないそうだ。

つかみ所ないなあ。ここらへんも「典型的な日本人」っぽいのだが、外向性なのに表面的にこうした人のフリをしているタイプも多いのだろうな、とは思う。逆に内向性だったのに、周囲の期待からリーダーに祭り上げられたりすることもあるだろう。特に調和を重んじる日本社会ではありそうなことだ。

こうした場合やり方は2つある。1つは新しい役割に向けた価値観を獲得する事。もう一つは自分の役割を知っていて、それにあった環境を準備することだ。今どういう性格特性を持っているかということと、これからどうなるかということは必ずしも同じではない。そのためには今の自分の位置は知っておいた方がいい。

もう一つ重要なのは、チームがリーダーだけで成り立っているわけではないということだ。終身雇用制はまがりなりにもこういったチームを作るための枠組みを準備してきた。それは特性や役割によって損をする人ができないようにすることと、長期的に利害を調整する仕組みだった。やがて全ての人に利益を分配できなくなると、この枠組みが崩れてゆく。どういう性格特性の人たちが非正規化したのかは分からないが、1/3が非正規という現実を見るとある特性があるに違いない。しかし、だからといって非正規化しないような性格特性を目指そうというのは間違っている。例えば黙ってルーチンワークをこなす人たちが非正規化したと仮定し、プレゼンテーションが得意な外向型と現実を重視する調整型が正規として残ったと仮定してみる。しかし、プレゼンテーションと調整だけで現場が回るわけではない。

プレイヤーとして参加する人たちは、自分の性格特性を読み解くとよいだろう。しかしリーダーになりたいと思ったら、それだけでは不十分で、いろいろな性格特性を知る事が大切だろう。

INFJ, INFP

INFJ

忍耐強く、望まれていることを成し遂げるタイプ。努力を惜しまない。静かで、他人のことを慮る。公共のために強い信念を持って行動する。なにやら、日本人の美徳が詰まったようなタイプ。I型なので、いろいろうるさく話をしたりはしない「不言実行型」。なぜ、TがF(感覚型)に変わっただけで集団で望まれるタイプになるのかは分からないが、昨日のINTJに比べると扱いやすそうだ。

ここに日本の社会が持つ強みと弱みがあるように思える。Jは現実重視型なようなので、新しい知識や概念にはあまり関心を持たないはずだ。変化が少ない場合にはこれでよいのだろうが、変化が大きい社会では問題が出てくる。しかも思考でなく感情で物事を捉えるので「なぜ、こういうことが起こったのか」ということはよく分からない。加えてIであまり多くを話さないので、お互いが何を考えているのかが分からなくなってしまい、社会不安を引き起こすのではないか。暗黙でも伝わるためには経験などを共有する必要があり、多様な他者が集まる場所では居心地が悪く感じる可能性があるかもしれない。

INFP


熱意と忠誠心に満ちているのだが、お互いを良く知るまではあまり話さない。学習、アイディア、言語(概念的なものに関心を示すのはP型だからなのだろう)といったような小さめのプロジェクトを好む。社交的ではないので、いつの間にかシゴトが片付いている感じだそうだ。物欲や所有欲はない。

同じような不言実行型のタイプだが、JがPに変わっているので新しい事が起きてもあまり動じないのかもしれない。

さて、アメリカには、外向性が75%・内向性が25%とか、感覚型が75%・直感型が25%という結果があるそうだそうだ。どうやら1960年代の調査らしい。MBTIは生物学的な指標ではないので、社会的な価値観が反映されやすいことは容易に想像できる。アメリカは「自分を積極的に表現してゆこう」というプレッシャーの強い社会なので、この分布が日本にも当てはまるかどうかは分からないのだが、少なくともアメリカではINは少数派のはずである。

「ENTJ – $84434」でGoogle検索していただくと分かると思うのだが、どうやらタイプごとの年収についての数字が出回っているようだ。原典が何で、いつごろの数字なのかはわからなかったので、引用はしないことにする。しかし、タイプによって年収が違うのだったら、年収が高いタイプになりたいという人も出てくるかもしれない。

特に、日本は和を重視して、みんなが損をしないようにする社会を作り上げて来た。しかし自由競争が始まると、どうしても外向的で現実を重視する人の方が「有利」になるように思える。それに加えて「こういう人格を持つのが、正解だ」というような認知が流布すると、MBTIは一人歩きするかもしれない。


ちなみにwikipediaには有名人でこのタイプの人というコーナーがある。INFJにはガンジー、マーティン・ルーサー・キング、ネルソン・マンデラ、アルベルト・カミュという名前がならんでいる。社会がおかしいと感じたら、それを変革するためにたゆまず努力する人たちだ。この一群の人がいなければ、インドはカースト制のままだったかもしれないし、アメリカや南アフリカの黒人達も差別されたままだったかもしれない。必ずしもこの人たちが経済的に成功したかどうかは分からないのだが、それでも社会に必要な資質を持った人たちだということがいえるだろう。 INFPにも『1984年』で有名なジョージ・オーウェルやダイアナ妃などがいる。