政治的主張の組み立て方 – リピーターと新規ユーザー

ソーシャルメディアの反応を見ると、政治的な主張にどの程度の引きがあるのかが分かる。だが、その反応は要面的であり、使い方を間違えるととんでもない勘違いを生み出しかねないのではない。以下、具体的に示す。

一部の方は既にご存知だと思うのだが、Google Analyticsでユーザーの行動が終追えるようになった。ユーザーごとにIDが割り当てられていて行動をトレースできる。そこでリピーターの行動の解析を試みることにした。

念のために申し添えると「プライバシーが漏れる」ということはない。IDは固有だが、名前などとは紐づけられていないからだ。IDは各個人のブラウザーに入っているが、パソコンを押収でもしないかぎり、個人の特定はできない。

ユーザーの行動履歴は閲覧できても、エクスポートには対応していない。そこで、ページをコピペして加工した。ユーザーの多いサイトで同じことをするのは大変だろうなあと思う。

user_id interaction ページ名という形式に加工してCytoscapeに読み込ませる。やろうと思えばページのジャンルをアトリビュートとして読み込ませることもできるのだと思うが、面倒なのでやらなかった。多分書いている本人がよく分かっていないので、意味がないだろうと思ったからである。もちろん、バスケット分析などもできるのだが、そこまでやりたい人(主にECサイトの人だろう)は、カスタマイズされたコードとIDを埋め込んでいるものと思われる。

まず、ヘッドラインで反応しているひと(いいね)などは全く当てにならないようだということだった。傾向が全く違うのだ。多分、Retweetもヘッドラインに反応しているのかもしれない。時々、ヘッドラインと全く違うことを書いていたりするのだが、本文は読まれていなさそうだ。

次に分かったのは「ユーザーというのは一人ひとり違った指向を持っていてつかみ所がない」ということだった。このブログはいわゆる「左翼層」をターゲットとした記事(一言でいうと、安倍政権が災いを引き起こしているという内容だ)が多いのだが、リピーターはほとんど読んでいないようだった。「Twitterにはバカが多い」とか「NHKは情報を隠蔽した」いう記事は多くのページビューがあったのだが、リピーターにはこれも読まれていない。みんなが読む情報に飛びつく人は飽きるのも早いということになる。

ユーザーのニーズは多様化している。例えばマーケティング系のもの、コミュニケーションに関わるもの、マスコミのあり方に対するもの、イノベーションについて、デザインなどと複数のジャンルについて幅広く読んでいた。特定の傾向は見られない。

さて、これを見る限りは、野党勢力は今夏の参議院選挙であまり躍進できないのではないかと思われる。自民党の憲法案やTPPへの関心は多分それほど高くない。具体的に何が起るかイメージできていないのではないかと考えられるし、多分反対する野党陣営は「大げさだ」と考えてられているのではないかと思う。

熱心な人はTwitterで安倍首相の悪口をつぶやいているが、多分誰も読んでいない。多くの人は飽きているか、そもそも最初から気にしていない。情報発信者も「カラオケ状態(つまり、誰も他人の歌を聞いていない)」なのではないかもしれない。リアクションを見ながら発言している人は、おそらく誰もいないのではないだろうか。

では、そのような人たちは政治に関心がない無知蒙昧な人たちなのかというとそうでもないらしい。政治記事にも読まれているものがあるからだ。これも傾向は判然としない(書いている人が分かっていないのだから傾向が見えないのも当然だ)ものの「意識高い系のワードと政治を組み合わせたもの」や「公共性に関するもの(ただし、公共についてポジティブなのかネガティブなのかは判然としない)」などは読まれている。今のレベルでは仮説にすぎないものの「自民党中心の政治が制度疲労を起こしている」と考えている人は多いのではないかと考えられる。だが、野党も「旧態依然としている」と思われているために、支持が広がらないのだ。

いずれにせよTwitterやYahoo!ニュースのヘッドラインに引っ張られて政治主張や情報発信の方針を決めるのは危険だから止めたほうが良さそうだと思った。自分のメディアを持ち、定期的に反応を解析しないと、表面的なリアクションに引っ張られる危険性があるのではないだろうか。

多くの露出を得るためには、インフルエンサーにフックしたり、過激なことを書く必要がある。ただし、リピーターを獲得するためにはそれではダメなようだ。感情で動く人は、辛抱強く文章を読んだりはしないのだ。

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